天ぷらって彩幸シリーズ「舞茸の天ぷら」
天ぷらにする材料ってさまざまなモノがあり、それぞれの趣きがあるものです。
旬のお野菜、海や山の幸という季節を食べるという趣旨だけじゃなく、最近ではお肉系やお菓子などの変化球もなかなかおもしろいモノです。
そして、我が蕎麦業界のメインディッシュも、この天ぷらが王道となっているのは、日本古来の季節感をお客様に味わって頂きたいという想いが息づいているからでしょう。
地球温暖化などと言われ、この季節感が失われている異常気象、せめて食の世界だけでも四季を意識してご提供を考えたいものではありますが、実は、旬の食材なんて、もう消滅しつつあるんです。
栽培テクノロジーの恩恵、つまり科学が進み、消費者とそこでお金儲けを考えるフード業界の欲望のままに第一次産業が右にならえをすれば、一年中食べれる、出荷できるという売り商戦繰り広げることになるでしょう。
そう、そして、今回テーマにあげる「舞茸の天ぷら」も、季節感が無くなってしまった食材の代名詞です。
季節外れに食べるのが当たり前になった食材とも言えます。
本来の天然舞茸の出荷シーズンは、9月~10月です。
天然舞茸の旬は9月~10月
自然に生息している様子は、まさに蝶々が舞うようである。
昔の人は良く言ったもんだ。
天然の舞茸は、なかなかスーパーなどで手にすることは難しいと思いますが、ネットショップであれば、農家直などで入手が可能である。
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舞茸は冷凍せよ!
楽天をリサーチすれば、800g・・・ご家族4人が夕飯の天ぷらで、他に食材もあり~で考えれば、100g使うと多いかも知れん量であり、つまり、ぶっ続け1週間~10日は舞天を楽しめる量です。
一家庭では多すぎるので、3人ぐらいでシェアするのがベストでしょう。
こうした株で購入した場合の保存方法ですが、一番のオススメは、冷凍庫にGO!
まず、株からちょうどよい大きさに引きちぎり、小分けにしておきます。
凍ると取り分けしにくくなります。
きのこ類の冷凍は、絶対に洗わないのがコツ。
風味がダダ漏れになっちまうんで。
この画像のような方法で小分けにしたモノを新聞紙かキッチンペーパーに包み、凍る間に適切な水分調整をさせておき、完全に凍ったら、この新聞紙を取り除き、ジップロックに入れておけば完了!
保存期間の目安は1ヶ月ですが、やはり古くなればなるほど舞茸特有の苦味が増えますのでご注意下さいませ。
冷凍オススメ度
こんなわかりやすい表があったのでご紹介する。
なんでもかんでも冷凍すりゃええ!ってわけではないようである。
きのこ類、デメリットはあれど、まず冷凍する最大のメリットは凍らせるとうまくなるということです。
食品の旨味成分である、イノシン酸、グアニル酸、グルタミン酸、舞茸はこのグアニル酸が豊富。
冷凍し解凍するという流れで、酵素が細胞の核酸の崩壊させ化学変化をお越し、勝手にぐんぐん増えるんです。
いわゆる三大旨味成分のひとつと言われるこの成分だが、ただ冷凍庫にぶっこむだけで、旨味が約2倍と言われているわけだから、生のまま食べる理由が見つからないと言っても過言ではありません。
マジで実感できる旨さです。
では、このグアニル酸とはどんな特徴を持っているか抑えておきましょう。
まずは、グアちゃんはどんな食材にどんだけ入っているかというと、指標としてこんなところになります。
グアニル酸の含有量
海苔
干し椎茸
ドライトマト
舞茸
ネットの情報を拾えば、数値として成分の含有量などをこぞって出していますが、食材の旨さは、数値で優越が付くモノではありません。
その食材自体の風味もさることながら、食す環境によって人は「旨い!」と判断するわけで、旨味成分の量が絶対的な旨さを決めるモノでは無いということを忘れないで頂きたい。
調理法によっても、合わせる他の食材によっても、下手すっと器だったり、一緒に食べる人、食卓や気候、体調によって、まったく人間の舌の旨味は変化するので、あてになるモノではありませんが、科学としての数値が好きな方は参考にでもして下さい。
旨味成分とは、つまり旨さを人が感じるかどうかの大事な要素ではありますが、胃に入ってからの栄養素はどうでしょうか。
この舞茸ですが、ただ旨いだけではありません。
古来、薬として食されており、昔の人は自分の体で食べてみて、その変化をしっかり実証し、受け継いで来たのでしょう。
現在でも、舞茸の粉末はサプリや健康食品に採用されるほど、栽培も加工も楽で取り扱い易く、かつ、コストパフォマンスがイイというコトが伺えます。
そうした薬にも応用されて来た所以が、最近テレビの健康番組でもひっきりなしに出てくる舞茸の重要要素、MD-フラクション MX-フラクション という成分。
いずれも神戸薬科大学の難波名誉教授が発見したマイタケだけに含まれる有効な多糖体郡の総称です。
その多糖体自体をβ-グルカンと言います。
わかりやすく絵にするとこんな感じ。※成分量などは無視した図です。
β-グルカンを含むMD-フラクション成分は、ヘルパーT細胞の増加やNK細胞を活性化させる働きがあり、免疫改善効果、免疫力自体のUPに効果が期待されています。
つまり、風邪予防から始まり、インフルエンザやノロウィルス、ガンやHIVにも効果が期待されている比較的新しい成分効果である。
舞茸には、このβ-グルカンの含有量がきのこの中でダントツであり、しかも、最近話題の「腸活」に絶大な効果を発揮するのではないかと言われています。
舞茸を食べることにより、腸内の免疫細胞に直接働きかけ、タンパク質生成成分のインターフェロンの促進化、さらには免疫力のアップにより、花粉症などのアレルギー症状の緩和や改善も腸活が有効であると知られています。
β-グルカンが含まれるきのこを比べてみると
β-グルカン含有量
舞茸がやはりダントツに持っていることがわかります。
ただし、このグルカン成分は水に溶けやすいので、極力洗わずに、汚れは拭くということが大切。
さらに、女性に嬉しい栄養素も豊富に含まれているので、チェックしてみよう。
エネルギー | タンパク質 | カリウム | 鉄 分 | ビタミンB1 | ビタミンD | |
---|---|---|---|---|---|---|
舞茸 | 16kcal | 3.7g | 330mg | 0.5mg | 0.25mg | 3.4μg |
椎茸 | 18kcal | 3.0g | 280mg | 0.3mg | 0.10mg | 2.1μg |
エリンギ | 24kcal | 3.6g | 460mg | 0.3mg | 0.14mg | 1.8μg |
※100gあたりに含まれる値(五訂増補日本食品標準成分表より)
これだけの効果を期待できる成分と栄養素自体を併せ持つ舞茸の魅力がわかって頂けただろうか。
そして、この舞茸の旨味と栄養素を殺すどころか、テーマでもある天ぷらという調理法でさらに旨味を増すという性質も確認できている。
前述した旨味成分のグアニル酸は、60~70度の加熱を与えることで倍増することがわかっているのだが、低温で長い時間火をかけるような調理だと舞茸特有の食感を損ねてしまいます。
つまり、ベストな加熱は、強火で短時間 + 予熱タイム を取ること。
はい、つまり天ぷらが舞茸の旨さと風味、栄養素を活かす最高の調理法と思います。
蕎麦と舞茸の天ぷらという組み合わせ。
蕎麦屋でさりげなく提供されている舞茸天ぷらのオススメ。
そのそれぞれが持ち合わせる素敵なコラボレーションは、完璧なまでの食の相乗効果をもたらす、まさにパワーフードだったのですね。
そんなことを考えながらお蕎麦屋さんに顔を出してみるのも、また、これから面白いかも知れませんね。