年末になると大晦日に食べる年越しそばの準備をしなければという雰囲気があちこちで感じられます。
楽常のそば打ちショップでもある、西鶴間増田屋でも、お持ち帰りの年越しそば販売、合わせて、店内でも、30・31日限定の年末大晦日特別メニューで臨んでおります。
日本人にとって元々そばというのは身近なものでしたが、年越しそばは新年を迎えるにあたり、とても大切な儀式のようなものとして各家庭に伝わっています。
ではそんな年越し蕎麦の歴史というのはどのようなものなのでしょうか。
いつ頃からどんなことが理由となって年越し蕎麦が生まれたのか、由来を知っておきましょう。
年越しそばの由来
年越し蕎麦は江戸時代頃にはすでに食べられていたといわれており、今年あった厄を蕎麦を噛み切ることで断ち切るという縁起をかついだ風習なのです。
昔から蕎麦自体に体内の毒素を排出できるようなデトックス効果があると信じられており、そこから厄を断ち切って来年また元気に過ごせるようにと願いながら食べます。
当時は蕎麦の見た目が長いことから長寿につながると考えられたり、細工師が作業していて散らばってしまった金粉を蕎麦をまるめたもので集めていたことから金運につながるとも考えられていました。
こうした由来もあって、楽常の年越しそばは、金箔をのせているわけです。
年越しそばは節分だった!?
ただし江戸時代の年越し蕎麦というのは現代のように大晦日に食べるものではなく、節分に食べる蕎麦のことを指していました。
当時の人にとって新年は立春から、という理由でした。
そのため、年越し蕎麦を食べるのであれば節分の時期ということになります。
しかも当時は毎月の末日が晦日ということでしたが、いつの間にか時代と共に毎月の月末ではなく、12月31日だけを大晦日と呼ぶようになりました。
それ以前は月末である晦日に毎回蕎麦を食べる習慣もありましたが、大晦日が出来てからは晦日蕎麦を食べなくなったのです。
もう1つの説には、江戸時代よりはるか昔の鎌倉時代頃に博多にある寺で貧しいゆえに年越しをできない人に対して「世直しそば」ということで蕎麦餅をふるまったことがあり、その世直しそばを食べた人達が翌年から運が向いてきたということから年越しそばを食べるようになったという説もあります。
現代の年越しそばあれこれ
現代では、大晦日の夜に除夜の鐘を聞きながら食べるという家庭もあれば、夜中に食べるというのは小さいお子さんがいる場合なかなか難しいということから夕食の時に食べてしまうというご家庭もあります。
今年の厄を断ち切るために食べるという由来から、年越し蕎麦を新年にまたいで食べるのはあまり縁起が良いことではないとされていますので、新年になってしまう前に時間の余裕をもって食べるようにしたほうが良いですね。
もう1つの縁起として年越し蕎麦を食べ残してしまうのはあまり良いことではないとされていますので、後で蕎麦を食べることができる量を夕飯で食べるようにしておいたほうがいいです。
これは年越し蕎麦を残すと金運が下がってしまうといわれているからです。
ちなみに年越し蕎麦に関しては温かいものであっても冷たいものであっても好みで合わせればOKですから、前もってどちらにするか決めておき、食べる直前にさっと作れるようにしておくのがいいでしょう。
蕎麦は末永くそばにいたいということから夫婦や家族がずっと仲良く元気に過ごせるようにという縁起もかつがれているものという説があります。
他にも年越し蕎麦を食べる由来はいろいろとあり、例えば蕎麦そのものが雨や風など荒天の時にも枯れることが少なく、元気に育つ植物であることから蕎麦を食べると強くなれるということで食べられるようになったということもいわれています。
また健康的な意味で食べるということもいわれており、年末年始はなにかと人と会ったり、集まって飲む機会が増えることから胃腸が疲れてしまいやすい状態になっています。
そんな時には消化が良い上にアルコールを分解する効果があって、蕎麦に含まれるビタミンB1が疲労回復効果もあります。そういう意味でも年越し蕎麦を食べておくことで胃腸を一休みさせることができます。
蕎麦の汁の中には栄養がたっぷりと溶け込んでいますので、できるだけ捨てずにちゃんと飲んでおくようにするといいです。
蕎麦湯の効能
蕎麦自体に栄養が豊富なことは、誰しも知っていることかと思います。
しかし、実は、それらの多くの栄養はルチンと呼ばれ、水溶性であり、茹でてるそばからお湯の中に溶け出してしまうことにより、より多くの栄養素を摂り入れるには、この蕎麦湯を呑むことが一番だと言われているのです。
それでは、その栄養たっぷりの蕎麦湯にはどんな効能があるのでしょう。
- 毛細血管の強化
毛細血管の膜に厚みと弾力性を持たせます。 - 血圧降下作用
血圧は、血圧を上昇させるアンジオテンシン2と、血圧を降下させるブラギニンのバランスによって保たれています。ルチンは、この血圧上昇物質の働きを弱めるため、心臓病・脳血管障害の予防になります。 - 膵臓機能の活性化
ルチンは、血糖値の調整を行う膵臓に障害をもたらす物質の働きを弱め、インシュリンの分泌を促します。そのため、糖尿病の予防と抑制に効果があります。
主にルチンの効能が取りだたされますが、蕎麦には、ポリフェノールも多く含まれるのです。
こうした、栄養素も含め、その年の最後の日に、カラダに摂り入れるのは、理にかなっている風習と呼べるかも知れません。
各地の年越しそば
さらに、面白いのは同じ年越しそばでも地域によって蕎麦にのせるトッピングが違うということです。
例えば兵庫県では鶏の天ぷらをのせた「かしわそば」が一般的ですが、岩手県では「わんこそば」を年齢の数だけ食べるという習慣があります。
福井県では蕎麦つゆに大根おろしをたくさん入れて「越前そば」として食べます。
沖縄も年越しそばを食べますが、こちらは本州とは違って「沖縄そば」を食べるのです。
さらに香川県になると蕎麦ではなく、「年越しうどん」を食べるのが一般的ですので、日本の風習とはいえ、地域性が出て面白いところでもあります。
最近ではスーパーで蕎麦を買って自宅で茹でて好きな具をトッピングして食べるというだけではなく、なんと年越し蕎麦のお取り寄せなども行われています。
しかもプロが丹精込めて打った年越し蕎麦などもありますので、大晦日には厄落しだけではなく、おいしい味も楽しめるという一石二鳥となります。
そして、和ケータリング楽常では、そうした験担ぎであり、縁起物の年越しそばを、会社で会場へ出張スタイルのケータリングとして提供しています。
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